『雨の通り過ぎた午後』
雨の通り過ぎた午後。雲の切れた水平線から、金色のエーテルが鉛色の街に流れ込み、建物の壁に張り付く。雨雲はまだ、空を覆い、湿った大気が身体を包む。僕は、今にもほどけて、目の前の風景の中に、流れ出しそうになる。
背後にあるロータリーを、車が忙しく通りすぎるのに、ここには、人の気配一つ無い。正面と背後では、時間の流れが異なっているのだ。
よく見ると、影に遊ぶモノたちが、そこかしこの壁にもたれながら、肩を寄せ合って、虹色に変化する日の光を楽しんでいたり、車道にしゃがみ込んで、地中を覗いている。バス停には、小さなモノたちが、落ち着き無く振り返ったり、笑ったり、枯れ葉の擦れあうような音で、お喋りをしている。
< 2-Ohkawacho,Kushiro-shi.Hokkaido.Japan >
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